コーヒーの育てかた
コーヒー豆とはコーヒーノキになる果実コーヒーチェリーの種だということは過去記事(コーヒー豆紹介『プリンセサ・ワイニー・ナチュラル』)で触れましたが、植えてからコーヒーチェリーを収穫するまでどのような事をしているのでしょうか。
今回はコーヒー栽培全体の概要をサクッと紹介します!
コーヒー栽培の流れ
1.タネをまく
産地でコーヒーを植える時に使うタネ、これは焙煎で使うコーヒーの生豆と同じですが、豆の状態が異なります。
植える時に使うコーヒー豆は“パーチメント”と呼ばれる殻が覆った状態の種子を使います。
このパーチメントで覆われた種子を発芽用ベッドにまきます。
2.発芽〜植え替え
発芽ベッドにまかれてから数週間でパーチメントを破って発芽し、双葉をつけます。
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双葉の状態である程度伸びたら育苗ポットに移しさらに苗が成長して行くのを待ちます。
数ヶ月してから苗木の健康状態を確認、選ばれた良好なものを栽培地の畑に植え替えます。
3.植えてから3年で開花、結実
畑に植えられてからは栽培環境に応じて適度な水、肥料を与え、同時に病害虫対策なども取りながら育てられていきます
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こうして3年ほどすると、腰までくらいの高さに育ちコーヒーの木に白い花が咲きます。
開花後緑色のコーヒーチェリーが結実し6〜9ヶ月後に赤く熟した後、収穫となります。
栽培条件
当然コーヒーベルトと呼ばれる地帯であることが大前提です。
赤道を中心に北緯25度から南緯25度のところ
これも過去記事で触れています→(日本でコーヒー豆って栽培できる?)
1.弱酸性で水はけ良く肥沃な土壌
コーヒー栽培に適した土壌についてですが、
・弱酸性の土壌であること、耕しやすさ、水はけの良さがある。
・窒素、リン、カリウムを過不足なく与えること。(土壌に不足しているものは肥料を与えることで補います。)
肥料価格の高騰、資源有効活用の観点から精選処理で取り除いた果肉を鶏糞と混ぜてミミズに与えて有機肥料化する試みも盛んになりつつある。
2.暑すぎず寒すぎない気温
18〜22℃
気温:高すぎる→光合成の効率低下
低すぎる→葉や果実の変色
気温は高すぎても低すぎてもうまく育たないようです。
3.多すぎず少なすぎない日照量
日照量が少ないとうまく成長できません、逆に多すぎる場合は樹木へのダメージとなりこれも成長を阻害します。
日照量をコントロールするために行われるのがシェードツリーを植えることです。
シェードツリー:コーヒーノキへの直射日光を避け日陰をつくるための樹木。マメ科の高木が良いとされているが、バナナやマンゴーの木を植えたりすることも
4.メリハリの効いた雨量
必要な年間降水量:1400〜2000mm
日本の年間平均降水量が1700mmくらい、それと同じくらいですね。
上記の降水量に満たない場合は灌漑が必要になります。
また『いつ降るか』も大事な要素になります。
木の成長期にたくさんの雨が降ってくれること、逆に収穫期には乾燥していることが重要です。
収穫期の雨は水分過多や異臭の原因につながります。
5.病害虫対策
コーヒーには様々な病害虫が存在し、その対策がコーヒー栽培のコストに占める割合は数10%とも言われています。
代表的な病害虫
・ベリーボーラー:キクイムシの一種、果実に入り込み種子を食い荒らす
・サビ病:コーヒーの病気で最も恐ろしいもの、葉の裏側にオレンジ色の病斑がでつくられた胞子が発生し、葉の光合成機能を奪い2〜3年で木を枯らしてしまう。
インドやスリランカはかつてコーヒー栽培が盛んでした。ところが19世紀にサビ病が蔓延したせいでコーヒーはほぼ全滅してしてしまい
そこから紅茶に切り替えたという事情があります。それくらいサビ病の伝染力は強いです。
・炭疽病:主にアフリカで問題になっている病気、果実の表面に病斑をつくり実が熟す前に果実が落下してしまい収穫できなくなる。
対策
・病害虫の存在する種子や土壌を使わない
・枝の剪定をして風通しをよくする→湿度が上がらないようにする
・窒素肥料を与えすぎないようにする
・枯れ枝、病害虫に冒された枝を取り除く
カネフォラ種だと
土壌の質についてはあまり選びません
栽培に適した温度:22〜28℃
必要な年間降水量:2000〜2500mm
アラビカ種より暑くて、よく雨が降る環境を好みます。土壌はアラビカ種よりきめ細かく考えないでいいようです。
コーヒー栽培は条件がシビア
今回は概要のみ紹介しましたがコーヒーノキ を育てるのは一筋縄ではいきませんね。
一度だけ中国雲南省のコーヒー農園を見学しに行きましたが、一番印象的なのは気候ですね。
昼間暑くて、日差しは強め、そして朝晩は冷えるんです。
特に日照条件、雨量、日照量この3つの条件を揃えるのは容易ではないと感じます。ニュースでは今後の気候変動でコーヒーの栽培適地は2050年までに50%減少するなんてことも言われています。
飲みたいときにガブガブ飲んでいるコーヒーですが、今後は貴重な飲み物になるということもあるのかもしれません。
以上、コーヒーの育てかたでした!
参考:「コーヒー検定教本」,全日本コーヒー商工組合連合会,2017年1月
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