コーヒー生豆がとれるまで2『コーヒーチェリーの収穫』

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収穫も大変です

過去記事(コーヒー生豆がとれるまで1コーヒーの栽培)ではコーヒーの苗木は畑に植えらて3年ほどで収穫となることを紹介しました。
ではどのように実ったコーヒーチェリーを収穫していくのでしょうか?

JJC店主ワダ
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収穫もいくつか方法があり、どの方法を採用するかによってコストや品質に影響が出ます。

品質を決めるのはコーヒーチェリーの熟度になりますが、コーヒーチェリーは均一に熟しません。
完熟したコーヒーチェリーだけを集めるのが高品質なコーヒー生豆つくるポイントです。

そうは言ってもコーヒーノキはシェードツリーと共に植えられており、急峻な原生林のようなところに入って収穫しなければなりません。ブラジルでは平地で栽培されていますが、こちらは広大な面積の農園になります。作業に膨大な時間がかかるのです。

品質と効率、そしてコストを考えながらの大変な作業なのです。

シェードツリー:コーヒーノキへの直射日光を避けるため植えられる。日影をつくる背の高い植物(主にマメ科の植物、バナナやマンゴーを使うこともある)
収穫したコーヒーチェリーJJCブログ
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収穫方法は4種類

ではコーヒーチェリーの収穫方法を紹介していきます。

  • 手摘み
  • 地面に直接しごき落とす
  • 布をしいてしごき落とす
  • 機械による収穫

の4つの方法です。

1.手摘み(手作業)

完熟したコーヒーチェリーを選別して手で摘んでいきます。熟度のバラツキを少なく均一にできます。
また未成熟豆や異物が混入することがなく品質上最も好ましいです。手摘み収穫をしている農園のコーヒーは高品質と見ていいでしょう。デメリットは人件費が高くなります。また“良い摘み手”(ピッカー)の確保ができるかがポイントになります。

高地など勾配のきつい農園、高品質が売りのスペシャルティーコーヒーなどで採用されます。

2.地面に直接しごき落とす(手作業)

栽培エリアの全体的な成熟度から収穫のタイミングを判断します、手でコーヒーチェリーをしごき落とします。落ちたチェリーは掃き集めて夾雑物をふるい分けます。
収穫コストは安く抑えられます。
デメリットは未成熟豆も混入してしまう他に、土、石、枝、葉も集めてしまう。またチェリーが土に触れてしまい細菌に侵されるリスクがあります。

3.布を地面にしいてしごき落とす(手作業)

木の下に布をしいてチェリーをしごき落とします。“2”と違いコーヒーチェリーが直接土に触れるの防ぐことができます。こちらも収穫コストは比較的低めに抑えられます。
デメリットはこちらも未成熟豆が混入してしまう、枝や葉など異物が混入してしまうことです。

2と3の方法はブラジル始め平坦な栽培地で採用されています。農園があまりに広大でひとつひとつ完熟したチェリーを選んでいたら作業が終わらないからです。

4.機械による収穫

グラスファイバーの細い棒を無数に植えたシャフトが2本向かい合っている自動車の洗車機のような機械で収穫します。
木の上をまたいで走行し2本のシャフトが振動しながら回転してコーヒーチェリーを叩き落とします。
完熟果実は未成熟豆より枝から外れやすいので叩く強さを調整することで完熟果実をある程度は選別して収穫できます。手作業より労働力の確保少なくて済みますし作業コストは低く抑えられます。

デメリットは機械の初期投資が掛かること、機械が通るための整地が必要になる。未成熟豆や枝、葉が混入してしまうことです。
この方法も主にブラジルの中規模〜大規模農園で採用されています。

機械収穫は平坦な栽培地で行われてきましたが、傾斜地への対応も進んできています。
また労働者がひとりで使える小型の収穫機も開発されています。

機械による収穫の様子です↓

Coffee Express: Maximum Productivity from the First Harvest

落ちたチェリーも忘れずに

コーヒーを栽培する上ではどうしても収穫前にコーヒーチェリーが自然落下してしまうことがあります。落ちたコーヒーチェリーの品質は悪く、売価も低いですがこちらも回収する必要があります。

なぜなら落ちたコーヒーチェリーによってコーヒーノキに害虫が発生してしまうからです。害虫が発生してしまうと今後の栽培にも悪影響となります。落ちたコーヒーチェリーは通常の収穫とは別で集められ低品質コーヒーとして販売されます。

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収穫にまつわる労力とは

現在、世界の大半の国では手作業(手摘みorしごき落とす)で収穫され、機械での収穫を行うのはブラジルの中規模〜大規模農園くらいに限定されます。
どの方法を採用したとしても収穫作業はコーヒー生豆を生産する上で特にコストと時間がかかる部分だと思います。

手作業はなんと言っても作業する人を確保するのが大変、基本的には臨時工を収穫のために雇わなければなりません。収穫基準、収穫方法を教えなければなりませんし、それを基準通り実行させることは大変気を使うところです。また収穫したチェリーの熟度、重量によって作業員の給料が決まります。

作業も勾配のきつい山中での作業なので落下など怪我の危険もあります。

機械での収穫は、人的コストがかからない分、機械を導入する時の費用とメンテナンス費用がかかります。未成熟実や枝葉が交じることで仕分けコストも発生します。

収穫されたコーヒーチェリー計量
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まとめ

収穫方法を表にまとめると

収穫方法メリットデメリット
完熟豆を一粒ずつ手摘み未成熟果実の混入率が低い
異物の混入率が低い
作業コストが高い
人手の確保が難しい
地面に直接しごき落とす作業コストが安い未成熟〜過熟果実が混入する
異物の混入率が高い
細菌によるダメージのリスク
収穫前に落下していた果実が混入するリスク
布を敷いてしごき落とす作業コストが比較的安い
細菌によるダメージのリスクを回避
未成熟〜過熟果実が混入する
異物の混入率が高い
機械で収穫手作業に比べ、作業コストが安い未成熟〜過熟果実が混入する(しごき落としよりは少ない)
初期コストが高い、メンテナンス費用がかかる

今回はコーヒーの収穫について紹介しましたが、21世紀の今も地道な作業の上に成り立っています。

JJC店主ワダ
JJC店主ワダ

店主もコーヒーの収穫ではないですが、長野県に来てから米作りの手伝いやレタスの収穫バイトを経験してきました。水田や畑の風景に癒されるところもありますが、やはり他のどの仕事よりも体力を使うし、手作業の大変さは身に染みているつもりです。


スマホやパソコンをクリックするように簡単にはいかないのが農作業なのです。時には収穫の苦労にも思いを馳せながらコーヒーを頂いてみませんか。

参考:「コーヒー検定教本」,全日本コーヒー商工組合連合会,2017年1月

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