精製とは生豆を取り出す工程です
ではいよいよ今回から精製について紹介します。
前記事で紹介したコーヒー豆の構造からわかるようにコーヒーチェリーから生豆をとりだすには周りについているパルプやミューシレージ、パーチメントを取り除かなければなりません。これが精製と呼ぶ工程です。
ナチュラル精製とは
コーヒーの精製方法の中で原点といえるナチュラル精製(乾式精製、非水洗式とも言う)は最もシンプルな精製です。
収穫後、粗選別を行ったコーヒーチェリーをそのまま乾燥します。
これだけです。
乾燥方法
コーヒーチェリーの乾燥の仕方にもいくつか方法があります。
- アフリカンベッド(東アフリカ地域発祥の乾燥棚)
木製の棚に金属などでできた網をはってテーブル状にして、その上でコーヒーを乾燥させる方法。
テーブルの下からも風が通るので風通し良く乾燥できます。
エチオピアなど東アフリカで採用されていた方法ですが近年は中米各地のナチュラル精製コーヒーでも採用されています。 - パティオ
コンクリートやレンガ床など地面でコーヒーチェリーを乾燥させる方法です。
主にブラジルで採用される方法です。 - 家の屋根
小規模生産者しかいないイエメンでは自宅の屋根で乾燥させるのが一般的なんです。
こうしてアフリカンベッドやパティオに広げられたコーヒーチェリーを太陽熱で乾燥していきます。
温度や乾燥速度は乾燥場に広げるコーヒーの厚さ、攪拌頻度でコントロールしていきます。
均一に乾燥できるように頻繁に人の手で攪拌しなければならないので人的コストがかかります。
ナチュラル精製したコーヒーの特徴
ナチュラル精製したコーヒーは、
コーヒーチェリーの糖分とフレーバーがコーヒー生豆に濃縮されます。
フワッとした芳醇な発酵感のある風味
が特徴です。
発酵感と言いましたが精製工程中に実際にコーヒー生豆は発酵してるんです。
精製方法により発酵のしかたは異なりますがナチュラル精製の場合を今回は紹介しますね。
精製は発酵だ
ナチュラル精製の発酵
乾燥初期:
コーヒーチェリー自体が持っている酵素による追熟や発酵とともに、果実表面に付着している芽胞形成菌や乳酸菌などの細菌による発酵も進んでいきます。その後には酵母や糸状菌が増殖していきます。
乾燥中期〜乾燥終わり:
乾燥が進んで水分が少なくなると細菌や酵母の増殖が低下します。逆に糸状菌の割合が増えていきますが、さらに乾燥が進み最終的には各菌の増殖は止まります。
発酵系の香りの元となる成分は主に細菌や酵母によって生まれるため、すばやく乾燥させるとあまり発酵感は強くなりません。ゆっくり乾燥させるほど発酵感の強い香りになります。
例えばナチュラル精製のコーヒーの中でもブラジルのものは発酵感は弱めです。
上述したブラジルで採用されているパティオ方式は広大な乾燥場に薄くコーヒーチェリーを広げて、短期間、日に何度も攪拌しながら大体1週間と短期間で乾燥させるためです。
逆にエチオピアやイエメンのモカなどはモカ香と言われるように、もっと強い発酵感が感じられます。
ナチュラル精製まとめ
今回紹介したナチュラル精製をまとめると
- コーヒーチェリーごと天日乾燥する
- チェリーの乾燥方法にはアフリカンベッド、パティオなどがある
- 乾燥期間、攪拌回数などで風味、発酵感の出方が変わる
と言う特色があります。
コーヒーがどのような精製方法でつくられたのか理解することも自分好みのコーヒーを見つける手がかりになりますよ。
このシリーズの次回はウォッシュド精製について紹介していきます!
参考:且部幸博「コーヒーの科学」,講談社,2016年2月、「コーヒー検定教本」,全日本コーヒー商工組合連合会,2017年1月
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