1.コーヒーは植物
今回は植物としてのコーヒーについて調べてみました。
コーヒー好きな方ならコーヒーのあの焦げ茶色の豆はよく目にしているでしょうし、またはコーヒー好きとまではいかなくてもインスタントコーヒーの粉末を見ている人はたくさんいる事と思います。でも植物としてのコーヒーはほとんど知らない人が大半ではないでしょうか。もしくはコーヒーが植物であることもイメージしない人も多いように思います。
そこで植物としてのコーヒーについて紹介します。
まず学術的な分類では
コーヒー:被子植物門双子葉植物綱キク亜綱リンドウ目の
アカネ科 (Rubiaceae) コーヒーノキ属(Coffea)に属する熱帯植物
となります。
被子植物門とかスッと頭に入ってこないですね、キク亜綱とか、もはやどう読んだらいいのかという感じです。
キク亜綱は(きくあこう)と読むそうです。
わかりやすく言うとコーヒーはアカネの仲間なんです。
アカネと聞くと少し植物として感じられますよね。
同じアカネ科で他にはマラリア治療薬のキニーネで有名なアカキナノキ、漢方薬や着色料などに使われるクチナシなどがあります。
育つと高さ7〜8mになる常緑低木
発芽から3年ほどでジャスミンにた香りを放つ白い花が咲き、(花が咲いているのは約1日と非常に短いです。)そして果実(コーヒーチェリー)を結びます。
はじめは青い果実ですが、徐々に赤く色付いていきます。これを収穫して精製するとコーヒーの生豆になるんです。
2.コーヒーの発祥
それではコーヒーノキはどこから生まれてきたのでしょうか。
コーヒーノキの祖先はおよそ2730万年前にクチナシの祖先から分岐し、その後シロミミズ(沖縄や台湾に自生する常緑小高木)の祖先と分岐して、1440万年前に下ギニア地方(現在のカメルーン周辺)で生まれ、ここからアフリカ熱帯地域全体に広まりました。
そしてアフリカ大陸を縦断する大地溝帯や海峡、サバンナなどで森林が分断された地域に分かれ、それぞれの環境に適応して進化を始めました。
またアジア、オーストラリアにはソマリア半島の低地に適応したものが伝わったと考えられています。
こうしてコーヒーノキ属は世界に広がっていきました。
そうしてコーヒーノキ属は現在125品種が知られていますが、私たちがコーヒーとして普段飲んでいるのはその内のわずか2品種となります。
アラビカ種とカネフォラ種です。
アラビカ種
香りや酸味に優れた高品質のコーヒー、標高1000m〜2000mの気温が低め高地で栽培されます。病害虫に弱く栽培が難しい。 もともと15世紀頃からコーヒーの飲用が始まった時から現在まで人々がずっと飲んでいた品種です。ハンドドリップやフレンチプレス、サイフォン、エスプレッソなどで飲むときは基本的にこのアラビカ種のコーヒーを使っていると言っていいでしょう。 このアラビカ種、起源はエチオピアになります。 エチオピア高原の西南部、標高1300〜2000mに位置する、現在の行政区分では南部諸民族州とオロミア州の一部がもともとの原産地だと考えられています。エチオピア西南部は今でも野生のアラビカ種が自生しています。地域によってはこうした野生のコーヒーノキから生豆を得ています。
栽培地域:赤道をはさむ南北25度のコーヒーベルトと呼ばれる地帯。コーヒーベルトからは外れますが沖縄や小笠原でも栽培されています。
カネフォラ種
アラビカ種より香りや酸味が劣り、苦味や独特な土臭さがあります。低地で生育可能で病害虫に強く、栽培が容易です。19世紀末に東南アジアでコーヒーサビ病(コーヒーの木に発生するカビの一種による伝染病)が流行した際、全ての型のサビ病に耐性を持つものとして新たに栽培されるようになった品種です。安価なのでインスタントコーヒーや缶コーヒーに使用されます。またイタリアではエスプレッソの苦味を強調するためにアラビカ種と合わせてブレンドされたりします。コーヒー業界では一般的にロブスタと呼ばれることが多いです。 カネフォラ種は中央アフリカが起源です。西アフリカから中央アフリカ高地に至るまでの広い範囲で自生しています。
栽培地域:コーヒーベルト内の地域の内→インドネシア、ベトナム、インド、ブラジルの一部、西アフリカ
この2品種の生産量の割合はアラビカ種が60%、カネフォラ種が40%となっています。
参考:且部幸博「コーヒーの科学」,講談社,2016年2月
3.終わりに
こうしてみると多くの人がコーヒーに抱く“苦い飲み物”というイメージってカネフォラ種のコーヒー(インスタントコーヒー、缶コーヒー、ファーストフード店のコーヒーなど)ばかり飲んでいたからかなという気がします。→苦味や独特な土臭さ
ですが近年はコンビニやファーストフード店のコーヒーでよくアラビカ100%みたいな表示結構ありましたよね。
安いけど苦いだけのカネフォラ種は使ってませんよということです。缶コーヒーでもアラビカ種(香りや酸味に優れた高品質のコーヒー)を使用という表示をよく見かけるようになりました。
このようにコーヒーが手軽に美味しく飲めるようになっているという流れは歓迎すべきことだと思います。
コーヒーを植物というところから理解するのはなかなか簡単ではないと思いますが、また改めて掘り下げていきますのでお付き合いください!
参考:且部幸博「コーヒーの科学」,講談社,2016年2月
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