さてコーヒー生豆がとれるまでシリーズですが前回から精製方法について紹介しています。5回目の今回は最も採用されることが多い精製方法を紹介します。
ウォッシュド精製とは
1845年ジャマイカで発明された方法です。
現在は中南米、アジア、アフリカで広く採用されていて、コーヒー豆の精製方法としては一番スタンダードと言えます。
ウォッシュド精製の方法
前回紹介したナチュラルは果実ごと乾燥させるだけでしたが、ウォッシュドは水を使って果実から生豆を取り出していくんですが、いくつかの工程に分かれます。
1.粗選別
収穫したコーヒーチェリーを水槽に入れフローター(軽くて未熟なコーヒーチェリー)と重い異物を取り除く
2.果肉除去
完熟コーヒーチェリーと未成熟コーヒーチェリー関係なくパルパー(果肉除去器)にかけます。
この工程で完熟コーヒーチェリーは果肉が取り除かれますが、未成熟なチェリーは取り除かれません。
粗選別と果肉除去、各工程で品質の良くないコーヒー豆を取り除くことができるのでナチュラル精製と比べると品質の向上と均一化を図ることができます。
果肉を取り除いたコーヒーはパーチメントと呼ばれる殻に包まれた状態です。さらにそのパーチメントコーヒーにはミューシレージと呼ばれる粘液質が付着しています。
3.ミューシレージの除去
次はそのミューシレージを除去する工程に入りますが2つの方法があります。
○フリーウォッシュド(発酵槽処理)
水槽にパーチメントコーヒーを浸すと酵素と水中微生物がミューシレージをエサとして発酵、分解します。
発酵槽に24〜48時間浸したのち、仕上げとして水洗いにかけてミューシレージをキレイに除去します。
○機械処理
ミューシレージリムーバー(粘液質除去機)という機械にパーチメントコーヒーを投入してミューシレージを除去します。
フリーウォッシュドと比べると水の使用量も少なくさらに短時間でミューシレージを除去できます。
この機械でミューシレージを除去する方法をパルプドアンドデミューシレ―ジドと呼び、ウォッシュド精製の中でもフリーウォッシュドとは明確に区別して表記したりすることもあります。
4.乾燥
こうしてミューシレージまで除去されたパーチメントコーヒーは乾燥工程にかけられます。
いずれの精製方法でも生豆の水分含量を適正にするために乾燥がおこなわれますが、コーヒーには収穫直後のコーヒーチェリーで60〜80%、パーチメントコーヒーで50〜60%の水分が含まれています。
乾燥工程でこれを10〜13%まで減少させます。
乾燥方法はナチュラル精製の回でも触れた天日乾燥(サンドライ)もしくは機械(マシンドライ)で乾燥させます。
ナチュラル精製はコーヒーチェリーごと乾燥させるのに対して、ウォッシュド精製の場合はパーチメントコーヒーの状態で乾燥させていきます。
ウォッシュドコーヒーの特徴
ウォッシュド精製したコーヒーは、
クリーンでスッキリした味わいになります。
ナチュラル精製のコーヒーのような発酵系のクセが少なく万人に受け入れられやすい風味に仕上がります。
例えば仕事を控えてキリッとした朝のお目覚めのコーヒーが欲しい時などはウォッシュド精製のコーヒーがピッタリ合うと思いますよ。
ウォッシュド精製まとめ
今回紹介したウォッシュド精製をまとめると
- 水槽で粗選別、パルパーにかけて果肉除去と未成熟豆を取り除く
- 発酵槽か機械でミューシレージを除去後、パーチメントコーヒーの状態で乾燥
- クリーンな風味のコーヒーになる
という特色があります。
このシリーズ、次回はスマトラ式について紹介していきます!
参考:且部幸博「コーヒーの科学」,講談社,2016年2月、「コーヒー検定教本」,全日本コーヒー商工組合連合会,2017年1月
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